宇治天然温泉〝源氏の湯〟の男湯の一角にある植栽スペース。
そこは露天風呂の石組の傍ということもあり、常にお湯がかかってしまう場所でして、植物の生育にかなり不利な場所でした。

開館当初から植えていた孟宗竹(モウソウチク)もじわじわと傷んできて、一度植え替えたりも試してみたのですが。

 

 

【写真】開館当初、孟宗竹ともみじと茶の木を植えた。

 

 

 

昨年とうとう最後の1本が枯れてしまいました。

緑が無いとやはり寂しい感じがします。

 

 

 

 

 

 

地下1000m以上から汲み上げる源氏の湯の源泉は、ナトリウムが多く含まれているということで、保温・保湿効果に非常に優れたお湯となっております。

ナトリウムと言えば、要するに塩じゃないですか。
お肌には良いのかもしれませんが、植物にとっては毒ですよ。

『竹林に囲まれた露天風呂』というのが、源氏の湯のコンセプトなんですが、塩分のせいで竹が育たないんだからどうしようもない。

いっそ『温泉やめて水道水にしませんか?』なんていう提案をしてみようかとも思ったのですが、源氏の湯のオーナー様に『お前はバカか?』と言われること間違いなしなのでやめておきました。

 

 

 

でも、こうなってくると竹にこだわってばかりではいられません。

とにかくなんでもいいから育つ木を探せ!ということで、柊南天やヘデラなど数種類試しに植えてみたのですが、結局どれも上手くいきませんでした。

蔓性植物であるヘデラはかなり期待しました。
刈っても刈っても伸びてくる蔓の生命力には常々感心させられてましたから。
上手く育てば、竹で支柱を組んでそれに巻き付ければ、ブッシュな雰囲気がそれなりに出て、いけるんじゃないかと期待したのですが、塩には勝てないようで残念。

これはもう、僕たちのような一般の造園屋が日常で扱っているような樹種ではどうしようもないということです。

 

 

 

塩水でも育つ木。
あるにはあります。
そう。あれです。

 

海の中で育つ樹木、マングローブです。

※写真はかつてオーストラリアを放浪していたときの僕。本文とはマングローブ以外全く関係ない。この地でマングローブなるものを初めて目の当たりにした感慨深い思い出なので載せてみただけ。

 

 

調べてみると、〝マングローブ〟って木の名前じゃないんですって。
海水が満ちてくるところに生息する植物を総称して〝マングローブ〟と呼ぶそうです。

で、僕がマングローブだと思っていたこのタコ足の樹木。
本当の名前は〝ヤエヤマヒルギ〟といいます。

 

 

取り敢えず、苗を10本、沖縄から取り寄せました。

 

苗っちゅうより、発芽したての種ですか。

 

 

 

本州のど真ん中に住んでいる僕が、まさかこんなものを植えることになるとは思いもしませんでした。
植え方が全然分からないんだけど、まだかろうじて踏ん張っているヘデラ2株を残しつつ、とりあえず植えてみます。

 

 

 

 

『松原造園プレゼンツ源氏の湯マングローブプロジェクト』です。

僕の中の最終形イメージはこんな感じかな。

 

 

ただこのマングローブってヤツは、皆さんご存知の通り熱帯植物なんですよね。
氷点下になると生きれません。

その辺は、温泉の熱気でどうにかなってくれるんじゃなかろうかと、低い可能性を信じているのですが。
果たして、何本かだけでも生き残ってくれればと、マングローブ観察が楽しみな、ここ最近です。