前回のつづきです。
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山口県研修旅行の2日目。
2日目といっても、1泊2日ですから最終日です。
夕方には新幹線に乗って帰らなければいけません。
早朝からホテルを引き払い、レンタカーをすっ飛ばします。
目指すはきらら庭園フェアです。
会場の場所がわからず右往左往しましたが、なんとか到着。
で、きらら庭園フェアってなんぞやってことですよね。
説明しましょう。
きらら庭園フェアは、造園連山口県支部の造園屋さん24社がそれぞれ思い思いの庭を決められた区画内につくり、約3ヶ月間にわたって展示するというイベントです。
私としては、他府県の造園屋さんの仕事を見るいい機会かなと、そんな感じで訪れました。 まあ、スパイですね。
出展作品は全部で35点あったんですが、どれもこれも作庭者さんの力の入れようといったら。。。
情熱がビシビシと伝わってきましたよ。
完成度が高く、すばらしい作品ばかりでした。
まずはこの庭園。
温泉をイメージしてるのでしょうか。脱衣所もあります。
ちょうど、私の立っているところが脱衣所です。
白濁の湯が石組の湯舟に筧からとうとうと流れ、庭全体は雑木風に仕立てられていました。
これを3か月で撤去してしまうのですから。ホントもったいないです。
次に紹介するのはこちらの庭園。
野面の石積みが目を引く庭でした。丁寧な仕事に感動しました。
続いてはこちら。
門をくぐると、眼前に大きな荒々しい石が据えられた男っぽい庭です。
白砂に描かれた砂紋が庭に動きを与え、素晴らしい仕上がりだと思います。
写真にはありませんが、足元の三和土(タタキ)も工夫されており、感心させられました。
どんどん行きます。
大きな平たい石。思わず手を合わせたくなります。
この石の為につくったような作品ですね。
しかし、こうやって見ていて、面白いなあと感じたのは下草ですね。
下草の植え方がみんな違って、実に興味深い。
こういった展示庭園では、何よりも下草が一番難しいんだと思います。
もちろん庭自体のコンセプトがそれぞれ違いますし、下草だけでなく他にも技術的な面で勉強できるところは多々あるのですが、ワタクシはスパイですから、そういうところが実に興味深いです。
自分が苦手ってのもあるかも知れません。
景石の傍らにポチョッと植えるだけ。。。では足りないのです。
なぜ難しいのか。
それは下草や苔で、その庭の歴史をつくれるかどうかが決まってくるからです。
歴史とは古さのことです。
さも大昔からそこにあったかのような佇まい。
それが見る人をぐっと引きつけるポイントになるのではないでしょうか。
能書きはこの辺にして、次の作品を紹介します。
これは一風変わった作品ですね。
好みがはっきり分かれるかも知れません。
しかし、先程のはなし、この何十年と月日が経ったような使用感、生活感の表現は素晴らしい。つくったばっかりとは思えません。
特にアプローチのタイルと目地はお見事ですね。
つづいての作品です。
延石が横長に使われているので、敷地が広く感じられます。
この庭のポイントは、片方を浮かして並べた延石でしょう。もちろん、浮いていることに目をひくのですが、私は石の組み合わせに面白みを感じました。
この延石、材質は同じ御影石なのですが、表面の仕上げが割肌(ゴツゴツした方)と磨き(ピシッと四角い方)のものを使ってあります。
ゴツゴツなものにすっきりとしたラインを取り入れることで、割肌のゴツゴツ感がより強調されています。もし、同じ割肌の石を並べていただけなら、表現が単調になり、のっぺりとした仕上がりになっていたでしょう。
作品が単調にならないように、緩急をつける。強弱をつける。動と静。陰と陽。
すごく大事なことだと思います。
続いては、三連の灯籠がメインの作品です。
灯篭も変わっていて面白いのですが、地面の真ん中を盛り上げて、そこに灯籠を据えるのではなく、周りを盛り上げ、灯籠を据える位置を低く設定したところが面白いと思います。
まだまだ作品はあったのですが、きりがないのでこの辺にしておきます。
しかし、どれもこれも作庭家の熱意の伝わる素晴らしい作品ばかりでした。そして、山口県の造園を盛り上げていこうという山口県支部の結束と、なにより若手への親方たちの包容力に感動しました。
ただ、われわれが訪れた日は平日で、造園連山口県支部の方が誰もおられず、お話を聞けなかったのは残念ですが…。
雪は降ってましたが、心に熱いものが残るきらら庭園フェアでした。
つづきます。次回は毛利庭園です。
2010年1月17日 at 18:22
お疲れ様です。
さながら、庭に見本市みたいで、
住宅展示場の横に常設展として開設していれば
商売にもなりそうだし、庭への意識も変わりそうな気がしました。
2010年1月17日 at 19:24
素人ながら 限られた面積に
表現することは
なかなか難しいと思います
苔の表情も作るかたにより
それぞれちがい
素晴らしい庭ばかりですね:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
遠くから松原さんたちのような方たちが
訪れてくださったのですから
このイベントを企画されてここまでにされた方たちのご苦労も実を結んだと思います
次回もよろしくです\(^_^)/
2010年1月17日 at 21:44
個人的には大きな平たい石のあるお庭が好きです。
あんな空間が自分の家にあったら、素敵だし
超贅沢・・・でも憧れます。
庭師さんの世界も奥が広くて興味深い反面、
難しそうでもあり。
以前、母の友人の庭師の方が、駆け出しの頃の庭は
思い出深いけれども、恥ずかしくて見たくないとも
言っておられました。
そんなもんなんでしょうか(^^;?
お仕事頑張ってください!
2010年1月17日 at 22:30
何とか紹介されている庭より、良い庭を作りましょう!!!
2010年1月18日 at 18:36
>Backline-Ariさん
コメントありがとうございます。
常設展にするのは、なかなか難しいんですよね。
つくるのは勢いでつくってしまえばいいのですが、後のメンテナンスが大変なんですよ。
手入れや水やりを怠ってしまい、無残な状態になってしまっている展示場をよく見かけます。
期間限定だからこそ、心意気でできるものなんでしょう。
でも、そういう固定観念自体が、私が一歩抜け出せない理由かもわかりませんね。
2010年1月18日 at 18:45
>クレマチスさん
いつもいつもコメントありがとうございます。
とても励みになります(^O^)/
今年、TOKUSAとして企画しているイベントも同様に、同業者さんや各界の著名人の方々に見られることになると思います。
何万人もの人に、まじまじと見られるのでしょう。
考えただけでお腹が痛くなってきました。。。
2010年1月18日 at 18:58
>Rio-piさん
あの石、気に入りましたか。。。
お目が高いですね('-^*)/
お母さんの友人の庭師さんの気持ち。
ものすご~くわかります。
でも、その時代によって、流行みたいなものがありますからね。
思い出深いっていうのが大切ですよね。
苦労してなかったら、忘れてしまいますもん。
明日も笑顔で頑張りますv(^-^)v
2010年1月18日 at 19:04
>ぞのさん
少ない知恵を絞るだけ絞って、見てもらった人に、なんとかメッセージを送れるような庭をつくりたいですね。
とは思ってるんですが、
なぜか、年明けから異常に忙しいんですよね~。
嬉しいことではあるんですけれども、出展庭園の方は全然煮詰まってません(;´▽`A“