今日は『作庭記』はお休みということで。

1週間ほど前のはなし。

思い切って、鋏を買いました。

基本的に、刃物は嫌いじゃありません。

手に持って、じぃっ…と見つめていると、少し興奮してきます。

…なんか切りたくなってきます。

病気じゃ御座いません。

鉛筆を持つと、なんか書きたくなる。

マイクを握ると、唄いたくなる。

それと似たようなモンです。

職業上、普段から鋏をぶら下げているので、そんな気分になるだけです。

多分。。。

だからと云って、特別上等な鋏を持ってるわけでもありません。

安モンです。

庭志から庭師へ
上が今まで使っていた輪鋏で、下が今回新しく購入したヤツ。

私は『輪ばさみ』って呼んでますが、『植木鋏』ってのが一般的なんでしょうか。

上が機械打ちで、下が手打ち青紙。

上が大量生産商品で、下が一品モノ。

別に機械打ちの鋏に不便さを感じて、購入したってわけでもないんです。

某鋏フェチの植木屋さんの影響です。

植木屋さとちゃん  ←この方

鋏を愛してやまないこの方に影響されて、無理を言って、この方の通う鍛冶屋さんに、連れて行ってもらったんです。

この鋏、刃先の幅が狭いのが特徴です。

通常はこんなもん。

庭志から庭師へ

比べると、かなり細いことが分かるでしょ。

私は狭い所にも、スッと入る細い刃先が好きなんです。

そのかわり、刃が細いので力が入らず、太いものは切れませんが。

ついでに、他の鋏も紹介します。

庭志から庭師へ

剪定鋏と最近愛用しているノコギリ。

剪定鋏はノコギリの色と合わせて、紫のグリップを巻いてみました。

ノコギリは『SAMURAI』ってメーカーなだけに、日本刀のように若干反りが入ってるタイプです。

グリップの握りがよく、しかもパワフル。

鋸目が細目、中目、荒目と3段になっていて、細い枝でもストレスなく切れます。

そんでもって、こいつら。

庭志から庭師へ

上が切箸(キリバシ)で、下が葉刈り用の長鋏。

最近知ったんですが、切箸って京都を中心に、近畿地方の植木屋さんだけしか使わないみたいです。
慣れないと使いづらいってのが理由でしょうか。

私もほとんど使ってません。

あと両手鋏なんですが、せっかく鍛冶屋さんに連れてってもらったので、刃の裏スキもさとちゃんのススメでお願いしました。

庭志から庭師へ

鍛冶屋の親っさんの仕事に見入る私。

金属の匂いが漂う、薄暗くて少し埃っぽい鍛冶場。

この親っさん。60歳か。70歳か。
鍛冶屋一筋、40年か。50年か。

慣れた手つきで素早く鋏を分解し、研いでゆくその親っさんの皺だらけの筋張った細い腕が、私には妙に力強く思えて。

良く見ると、その腕には無数の痣が。

やはり鍛冶屋。やけどはつきものなんでしょう。

私がそのことを尋ねると、親っさんは
「これか?これはただのシミや。早よ死ねゆうこっちゃ」

この言葉に、私は苦笑いしか出来ませんでしたが。。。

・・・まあ。。。

シミだったとしても…、カッコエエことに変わりありませんよ。

まあ、とにかく。

両手鋏は生まれ変わり、輪鋏はあたらしくなったワケであります。

道具変われば気分も変わる。

次回から、コイツらを持ってお邪魔させてもらうことになると思います。

本人ともども、どうぞよろしくお願いいたします。