タイトルはあたかも今もって現在進行形に聞こえますが、
この年度末(3月末)で無事に張り終えることが出来たので、正確には『張ったのだ』と過去形になります。
堤防の芝張りでした。
面積はおよそ1万7千㎡。
いやー、そりゃあもうなかなか大変でしたよ。
なんたって1万7千ですからね。
結構な数字でしょ。
スゴイでしょ。
…ああそうか。
1万7千と言ってもピンときませんよね。
えっとですね。
1万7千㎡を日本のヒーロー、サムライブルーたちが縦横無尽に駆け回って数々の感動を生んだサッカーコートで例えるとすれば。
なんと約4枚分の面積になります。
$庭志から庭師へ
…ん?
今、大したことないじゃんって心の中で思いませんでした?思ったでしょ。
たった4枚分かよって声に出しませんでした?聞こえましたよ。
ああ、サッカーしないから判んないって?
なるほど。
じゃあ、こうしましょう。
日本の広さの基準である『東京ドーム』で例えましょうか。
これが一番判り易いですよね。
え~っと、1万7千㎡を東京ドームで例えると、

約3分の1個分になります。
$庭志から庭師へ
って少なっ!!
めちゃくちゃ少なっ!!
っつーか逆に東京ドームのデカさに驚きましたよ。
良く考えたら私、実物の東京ドームを見たことありませんでした。
話が進みませんので、もう堤防で例えますね。。。
堤防の法面の長さが7mだとすると、距離はざっと2.4kmとなります。
これで1万7千㎡なんです。
…ナンボほど判り易いんでしょう。
わざわざサッカーコートや東京ドームで例えて、無駄な文章で時間を費やしてしまいました。
とにかく。
そんな規模の芝張り工事。
作業状況はこんな感じです。
$庭志から庭師へ
殺風景な、自動販売機もな~んもない所で、ひたすら芝を張り続けます。
もくもくと下を向いて芝を張っていきます。
作業員たちは、仲が悪いわけじゃありませんが終始無言です。
芝張りマシーンと化すのです。
ゆっくりとした時間の流れの中、果てしなく続く斜面に、いつ終わることもなくただただ芝を張り続けていると、約30cm四方のちっぽけな切り芝1枚に宇宙が見えます。
あぁなんだ。自分も自然の一部なんだと、いや、自然なんてそんな大それたものでも何でもなく、芝なんだと。自分も芝そのものなんだと。生きるとはこういうことなのか、なんて。
ちょっと悟った気になれます。
$庭志から庭師へ
そして、芝張りって、ただ張れば終わりってワケじゃないんです。
写真を良く見ると、芝に無数の何かが突き刺さっているのが見えますでしょ。
これは芝がズレ落ちないようにするための『目串』です。
地面に打ち込んで芝を固定します。
この目串を1㎡あたり15本ずつ、木槌で打ち込みます。
$庭志から庭師へ
1㎡あたり15本ということは、
17,000㎡×15本=255,000 となり、
25万5千本の目串を木槌で遮二無二打ち続けます。
来る日も来る日も打ち続けるのです。
1本の目串に対して、平均5回くらい木槌を振り下ろしますので、
225,000×5=1,125,000 となり、
112万5千回振り下ろすことになります。
例えば1秒間に一発、木槌を振り下ろすとしたらですよ。
312.5時間かかってようやく打ち終えることが出来る計算になります。
1日8時間労働とすると、
312.5÷8=39 となり、
39日間ひたすら目串マシーンと化さなければならないのです。
これはもう『仕事』というよりも『精神修行』といった方が正確でしょう。
これでもまだ芝張り完成!! ではありません。
芝全体の表面に土をかける『目土入れ』が残っています。
張った芝の隙間を土で埋め、発根を促すための作業です。
斜面なので機械にが入って行けないため、ほとんどスコップでの作業です。
もちろんこれも、ただひたすらに1万7千㎡分の芝に土をかける目土かけマシーンに徹するのです。
人生で大きな壁にぶち当たったとき、禅寺で座禅でも組もうかと思うならその前に。
お近くの造園屋さんにお電話してみては。
賃金までもらえる、芝張り修行はいかがでしょうか♪